Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/2c79fba7cf8ace472da1f0bcc2a2e3d836c5c3ba
【列島エイリアンズ】 西川口(埼玉県川口市)で10年近く「非健全マッサージ店」を経営していたものの、コロナ禍をきっかけに進んだ同地への反社会勢力の流入を嫌い、県内某所に店舗を移転した広東省出身の女性、Yさん。しかし、移転からわずか半年の昨年11月下旬、再びトラブルに見舞われた。 「金曜日から日付が変わった深夜、女性従業員が1人だけで閉店の準備をしていたところに、1人の男が入店してきたんです。その男は、1時間コースの代金の8000円を支払い、女性従業員の指示に従って施術室に入室しました。サービスを受けている間も男はずっと無言で、気持ち悪かったそうです。男が豹変したのはマッサージが終わってから。女性従業員の髪をつかみ『金を出せ!』と脅した。助けを呼ぶこともできず、金庫のカギを差し出すと、男は店の売上金約13万円を奪って逃走したんです」 Yさんの店の防犯カメラは、犯行の一部始終を生々しく捉えている。犯人の男の顔も、はっきりと映っている。ところがYさんは、こうした被害を警察に通報していないという。 「うちは本番をやってないけど、グレーなサービスはしているので、警察と関わり合いになりたくない。それに、被害額が報道されたりすると、税務署も来るかもしれないし…」(Yさん) 移転して半年ほどでの強盗被害。西川口でトラブルとなった東北幇(ドンベイパン、中国東北出身者で構成されるマフィア)が執拗に追いかけてきたのだろうか。 しかし、その可能性についてはYさんが否定する。 「犯人は日本人で間違いない。女性従業員も、もみ合いになった際に男が流暢な日本語を話していたと言っている。それにここ数カ月、同様の手口による被害に遭ったという同業者が複数いて、被害者の話ではいずれも犯人は日本人だとされている」 Yさんの証言に従って取材を進めると、中国系マッサージ店をターゲットとした「タタキ」(強盗)が確かに多発しており、それらの犯人の多くが日本人とみられていることが分かった。その先を追った。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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