Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/ed0a2508f6582bb15db12baf6eaaa60bc87b5b58
春といえば、桜をはじめとするお花見シーズン。穏やかな日差しの下、咲き誇った花々に癒やされる機会も多いと思います。そんな時期の4月8日に行われる仏教行事の「花祭り」をご存じでしょうか? 正式には「灌仏会(かんぶつえ)」といい、お釈迦様の誕生日を祝う行事です。各寺院は「花御堂(はなみどう)」というお堂を作り、「甘茶」と呼ばれるお茶を用いてお祝いをします。古くからのしきたりを紹介しましょう。 【写真】甘味料が入っていないのに、ほんのり甘い不思議な甘茶 原種となっている日本人になじみのある花とは? ◇ ◇ ◇
4月8日はお釈迦様の誕生日 ポーズの意味は
今からおよそ2500年前の4月8日、ルンビニ(現在のネパールにある地域)の庭園で仏教の開祖・お釈迦様が誕生したとされています。「花祭り」はその誕生日を祝う行事です。日本に仏教が正式に伝えられたのは6世紀の頃。奈良時代から平安時代の頃には「花祭り」が行われていたとみられ、日本でも歴史のあるしきたりです。 各寺院には、色とりどりの花で飾った「花御堂」が設置されます。お釈迦様が生まれた場所を表したお堂です。お釈迦様を身ごもった母が満開の花に右手を伸ばした際、右の脇腹から誕生したという伝説に由来します。 「花御堂」に置かれているのはポーズを取ったお釈迦様の像(誕生仏)です。お釈迦様は生まれた直後に立ち上がって7歩歩き、右手で天を左手で地を指して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたと伝えられています。このポーズは、その時の姿を意味しています。
甘茶を注ぎかけて無病息災を願う
「花祭り」の参拝者は、ひしゃくですくった甘茶を誕生仏の頭上に注ぎかけることで生誕を祝い、さらに無病息災を願います。お釈迦様が生まれた時、天から九頭の龍が産湯として香湯をかけた伝説に基づく風習です。 元々は「香水」と呼ばれる「五色の香水」をかけていました。青、赤、白、黄、黒の5つの色の香水だったようです。しかし、手間や費用がかかるなどの理由からか、江戸時代になって「甘露の雨」に見立てた甘茶が用いられるようになりました。 甘茶はその名の通りお茶の一種で、日本特産のユキノシタ科に属する落葉低木でヤマアジサイの変種の葉を乾燥、発酵させたものです。「花祭り」では誕生仏にかけるだけではなく、実際に飲んだり目につけたりして、穏やかで健やかに暮らせるように願いを込めます。 また、甘茶は習字の上達にもご利益があるとされ、甘茶入りの墨で習字を練習するときれいな文字が書けるようになるとの言い伝えもあります。この墨で「千早振る卯月八日は吉日よ、神下げ虫を成敗ぞする」とおまじないの歌を書いたものを門口や柱に逆さまに貼り、虫よけにする風習もあるそうです。 お釈迦様が誕生の際に唱えた「天上天下唯我独尊」とは、一人ひとりが「他の誰とも代わることのできない絶対的な尊さ」を持ち、その尊い者同士がお互いを尊重していく大切さを説いたものと考えられています。4月8日はそうした意味を噛み締めながら、改めて感謝の心を込めて過ごすのも良いでしょう。 【参考】 「有識故実から学ぶ 年中行事百科」八篠忠基著(淡交社) 「図解 眠れなくなるほど面白い 日本のしきたり」千葉公慈監修(日本文芸社) 「日本のしきたりがまるごとわかる本」(晋遊舎) 「季節の行事と日本のしきたり事典ミニ」新谷尚紀監修(マイナビ文庫)
Hint-Pot編集部
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