Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/2e2c0e93b096ab53fbe8d4684b3ad7cd07013716
配信、ヤフーニュースより
全国で商店街が衰退する中、地域に住む外国人とともに、再生に取り組む商店街が福岡市にあります。大規模なリニューアルから1年がたち、どんな変化があったのでしょうか。 福岡市博多区吉塚にある商店街。無料で巡回しているタイの三輪自動車、トゥクトゥクに乗って買い物客が訪れます。中には、こんな商品も。ヤギの肉です。 ■買い物客 「異国な感じですよね。ちょっとここの場所だけ面白いなと思います。」 若い世代や外国人が集まってくる商店街。人気の秘密は“人情と多様性”です。 約1年前までは、大型店の進出や高齢化などで、活気を失った“シャッター通り”でした。その状況を何とかしようと一念発起し、周辺に外国人が多く住む環境をいかした、大リニューアルに踏み切ったのです。国の補助金を活用して、空き店舗にアジア各国の料理店を誘致し、商店街をリトルアジアマーケットと名付けました。リニューアル前は、30店ほどでしたが、現在は45店近くに増えています。 ただ、昔ながらの商店街に外国人が増えることへの不安もあったと言います。商店街のルールやマナーが伝わらず、店主がゴミ出しの日を間違えたり、スピードを出して自転車を走らせたりする客もいました。どうすれば分かり合えるのか、しばらくは模索が続きました。 ネパール出身のクマルさんは、商店街に新しい店をオープンしました。 ■ネパール出身・クマルさん 「“コロナ禍”で、勤めていた飲食店が閉店になって。この辺がアジア圏の人たちが多いので、ちょっとがんばったら、ここで店をやっていけるかなと思って。」 クマルさんが、オープンに向けて店の看板をとりつけていると…。商店街の人たちが、頻繁に声をかけてきて何かと世話を焼きます。 ■クマルさん 「漢字とかもあまり読めないから、読んでくれたりとか。商店街の人たちが助けてくれて。」 ■吉塚商店連合組合・上園事務局長 「外国人が新しく店を出した時に、率先して日本人と話しなさい。日本人には受け入れなさいと言った。何でもどうしたの?と、声をかけるということが大事。」 世話を焼いたり、助け合ったり、それはこの場所で古くから育まれた“商店街気質”でもあります。次第に、お互いの理解も進んでいきます。 ミャンマー出身のチョさんは、銭湯を改装したミャンマー料理店の店長です。チョさんが毎朝、欠かさずにやっていることは商店街のトイレの掃除です。自主的にしています。 ■チョさん 「商店街には、おじいさんおばあさんしかいないから、私がやった方がいいと思うので。」 チョさんの母国ミャンマーは、国軍によるクーデターで混乱が続いています。新型コロナウイルスの影響もあって、チョさんは、2018年の来日から一度も、帰国できていません。 そんなチョさんに、酒に酔った日本人客が心ない言葉を浴びせたことがありました。 ■チョさん 「あなたの国じゃない、自分の国に帰れと言われた。自分の国に帰ることができないから悲しくなった。一生懸命がんばっているのに、なぜ怒っているのかと考えた。」 そこにかけつけてくれたのは商店街の人たちでした。 ■チョさん 「みんなが助けてくれた。商店街のおじいさんたちが、彼はがんばっているいい人だよと、日本人客に伝えてくれた。みんなが応援してくれて。商店街の人たちは家族みたい。」 チョさんは、少しでも売り上げの助けになればと商店街の店から食材を仕入れています。 ■商店街の店主 「商店街の人は、チョくんの日本の母。みんな日本の母。」 ■チョさん 「家族がたくさん。」 吉塚商店街がリトルアジアマーケットに生まれ変わって1年になります。新型コロナウイルスの影響もあり、商店街全体の売り上げには、まだつながっていませんが、店主たちはこの1年の収穫に手応えを感じています。 ■商店街の店主 「何もしなかったら、あのまま衰退していたと思う。われわれも希望がなくなる、夢がなくなる。やっぱり奮い立たせていただいたことがありがたい。」 助け合いや世話焼きなど本来の気質が息を吹き返した商店街には、“コロナ禍”で浮き彫りになった人々の分断や孤立を防ぐヒントがありました。
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