男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議 vol.3 佐々木掌子(明治大学 文学部 准教授) 最近、LGBTという言葉や、性同一性障害という言葉をマスメディアなどでも目にする機会が増えました。性の多様性に対する理解が進んでいると思われる一方、国会議員が同性愛者を差別する言動を起こしたりもしています。その根底には、依然として、性の多様性に対する誤解や偏見があるからではないでしょうか。臨床心理学を研究する佐々木掌子先生にお話をお聞きしました。 ◇オルタナティブな性別表記 先ほど、子どもの話の中で、性別のことを揶揄された子が、「男か女かどちらかに決めなくてはならない」という思いを強くすることがあるといいました。 この、「男女どちらかに決めなければいけない」という考えを公的に否定した国もあります。例えば、ニュージーランド、オーストラリア、オランダ、カナダ、インド、ネパールなどは、パスポートのような公的な証明書に、男女以外の性別欄を設けるようになっています。 日本では、男性とも女性とも自らを規定しない在り方を「Xジェンダー」と呼びならわし、そうしたアイデンティティを持つ人たちもいます。日本でもようやく、公的な書類でも性別の確認が不必要な場合は、性別欄そのものをなくす自治体が出てきていますが、はっきりとXジェンダーという性別欄を設けている自治体はまだありません。 二つに分割できないものを無理矢理二つに分けてきた社会や制度の在り方には、もはやひずみが出てきています。理解しやすいから二つに分けるという原始的な認知で止まらずに、複雑な現象であるという事実をしっかりと受け止め、そうした認識に基づく制度設計が必要だと思います。 ※取材日:2019年4月
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