新型コロナウイルスによる雇用情勢の悪化は、アルバイトで学費や生活費を維持している留学生の生活に影を落としている。仙台市社会福祉協議会には、無利子で最大20万円を貸し付ける「緊急小口資金」へ留学生からの申し込みが殺到。申請者の4分の1を占めるほど、外国人の困窮が顕著になっている。【藤田花】
仙台市社協によると、外国人の緊急小口資金の申し込みは5月下旬ごろから増え始め、6月から統計を取り始めたところ、全体の4分の1を占める500件を超えている状況が判明した。そのうち約8割が留学生で、ネパールやベトナム、中国出身者が多かった。
アルバイトが主な収入源の留学生は、シフトの減少や、感染拡大後の来日ではそもそもバイト先が見つからないなどの問題に直面している。
日本語能力の低い学生も多く、社協の担当者は「電話での書類の記入方法の説明などは、日本人の何倍も時間がかかる」と語り、学生たちが通う市内の専門学校や日本語学校に、申請書の記入支援や制度についての事前説明など協力を求めている。緊急事態宣言は解除されたが雇用の先行きは明るくなく、留学生数の割に申請が少ないため、「今後も申請は増えるのでは」と懸念している。
こうした留学生に支援の手を差し伸べようと、生活困窮者に食料を無料で配布する「フードバンク仙台」(仙台市青葉区)は今月6日、外国人を対象に124人分のコメやレトルトカレーなどの食料を提供した。ネパールからの留学生、プン・マガル・メカ・パラサダさん(24)は「バイトのシフトが減らされ、学費を払いながらの生活は大変。食べ物をもらって助かる」と語った。インドネシアから来日したアグニ・リリ・アヤンティさん(35)は「仕事が見つからず困っている友人と食料を分けたい」と話した。
同団体が、新型コロナの感染拡大後の生活に関するアンケートを食料を受け取った外国人に実施したところ、「収入が減った」と回答した人は9割を超え、8割以上が現状の生活について「苦しい」と答えた。代表の小椋亘さん(38)によると、留学生は学費や生活費だけでなく、実家に仕送りをしている人も多いという。「コロナ後、最も生活に困っているのは留学生と思うくらい」と話し、「(水道や電気などの)ライフラインの支払い猶予や現金給付など、留学生のための新たな支援制度を考えていく必要がある」と指摘している。
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