インド北東部アッサム州にある「カジランガ国立公園」は、『生物多様性のホットスポット』と称される動物たちの楽園です。ただ、雨季には隣接するブラマプトラ川の水位が上昇して、浸水被害に見舞われることがあります。
特に今年は大きな被害が起きているもようです。
国立公園の95%浸水
現在、430平方キロもの広大な敷地のうち約95%が水没しており、多くの動物たちの命が脅かされています。
サイやシカ、はたまたゾウなども水に浸かり、水中を泳ぐ動物の姿も見られるほどです。あるトラは、首だけ水面から出ている状態で一晩過ごしたものの、幸いにも救助され命を取り留めたようです。
これまでのところ、66頭が死亡、170頭が救助されたと伝えられています。
大雨の原因
アッサム州では、6月10日頃からモンスーン(雨季)が始まり、特に7月に入ってからは豪雨に見舞われています。
先のブラマプトラ川など複数の河川が氾濫し、61名が死亡、340万人が洪水の影響を受けているもようです。
大雨の原因には、ベンガル湾の海水温が高いことが挙げられます。例年に比べ1℃から2℃も高く、これにより大気中の水蒸気量が増加し、大雨が降りやすい状況が続いています。
このためアッサム州に隣接するネパール、ミャンマー、バングラデシュなどでも、記録的な大雨が降っています。ミャンマーでは翡翠の炭鉱で地滑りが起き160人以上が死亡したほか、バングラデシュでは、国土の3分の1が浸水するという、とんでもない事態が起きているのです。
80年後のインド
インド政府が先日初めて発表した気候変動評価調査書には、このような可能性が書かれてあります。
・ 国内の平均気温は2100年までに4.4℃上昇
・ 熱波の頻度は3~4倍に増え、期間は倍増
・ 熱波、干ばつ、洪水やサイクロンなど極端な天候が増え、食糧安全保障の脅威となる
さらにオックスフォード・エコノミクスは、次のような衝撃の試算を発表しています。
「気温上昇が原因で、2100年までにインドのGDPが90%も下がるおそれがある」
生物のホットスポットどころか、13億人もの人口を抱えるインドの未来は、今後どのような対策を講じるかに委ねられています。
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