2024年11月27日水曜日

世界の野球 "世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「カラダを動かす楽しさを伝えよう!」

 Source:https://www.japan-baseball.jp/jp/news/press/20241125_1.html

2024年11月25日、Googleニュースより

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 9月下旬、前回のコラムで述べた「ネパール野球25周年日本ネパールスポーツ交流プログラム2024-2025」の活動の一環であるネパールでのスポーツ体験会の開催および私自身が参加した第16回カトマンズ・マラソンが開催された。これらのプログラムは「我が国との二国間又は多国間の互恵的なスポーツ振興と友好親善に資する取組」として日本国政府が推進するスポーツ国際交流・協力事業の「Sports for Tomorrow」(以下、SFT)の「SFTアクション+(プラス)」にも採択されている。スポーツ体験会はカトマンズ近郊のバクタプルで行われ、地元のクラブチームであるバクタプル・ベースボール・クラブからローシャン・タパ氏ら3名も指導員として参加した。

ネパールオリンピック委員会表敬訪問

 本来であれば、この体験会は全国から多くの参加者を集めて行う予定であったが、前日から未曾有の豪雨に見舞われ、計画していた活動にも大きな影響が出た。開始時間には天候は回復したものの、この豪雨では1970年の観測開始以来最大となる雨量を記録して洪水も発生し、規模を大幅に縮小しての実施となった。指導員らは「ネパールでは学校での体育の授業が少なく、グラウンドなど気軽にスポーツができる施設や場所も少ない。スポーツに触れる機会が少ないため、スポーツに関心を持ちにくい。」とネパールならではの問題意識を持つ。まずはスポーツを通じてカラダを動かす楽しさを感じてもらい、スポーツ人口を増やしていくことで野球も発展させていければと考えている。「スポーツをする楽しさを一人でも多くの人に伝えたい」という指導員たちの思いに応えて、当日は年配者や子どもも含めて約30名の地域住民らが参加し、ランニングやボールを使ったゲームなどを行った。

 体験会の前日、ネパール野球ソフトボール協会のディパック・ネウパネ会長らとともにネパールオリンピック委員会を表敬訪問し、ニレンドラ・シュレスタ事務局長と両国のスポーツ事情について交流を深めた。私自身は「スポーツの力で未来を創ることもできれば、社会課題も解決できる。」と考えているが、それを実現させるためには、日々目標をもって取り組んでいくことが何よりも大切だ。ニレンドラ・シュレスタ事務局長も「持続的に発展させていくにはビジョンが必要不可欠だ。」と述べ、両国の未来を考えるとても有意義な時間となった。その後、SFTの取り組みやスポーツ体験会、カトマンズ・マラソン出場についての記者会見を行った。上述の25周年記念事業の一環として外国人招待選手の1人として参加したカトマンズ・マラソンは膝まで水につかりながら走る場面もあり、非常に厳しいレースとなったが、3時間23分56秒で第12位(外国人3位)で完走した。初マラソンから約半年間トレーニングを続け、体重が約20㎏減り、25年前の体型に戻るとともに、タイムも2時間30分ほど短縮することができた。前日の会見の影響もあってか、現地メディアでも大きく取り上げられ、スポーツ体験会でも「マラソンに興味が湧いた。」「これまでどんな練習をしてきたの?」など道具の要らないランニングに関する質問も相次いだ。「普段、スポーツをする習慣は無いが、毎日スポーツをしたい。」「キャッチボールが楽しかった。」「いつかネパール代表の野球選手になりたい。」といった声をたくさん聞くことができ、体験会後の参加者の表情は明るく晴れやかであった。

第16回カトマンズマラソン

 近年、在日ネパール人が急増し、約21万人(2024年10月現在)が日本で暮らしている。活動を始めた25年前(1999年)と比べ約70倍にもなる数だ。もはや日本においてネパールは重要な国の一つといっても過言ではない。これからもネパールの人たちとスポーツを通じて共に学びあい協働し、持続可能な社会を「共創」していきたい。

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