Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/684b8817911b6b73b8ac5e7f85c280ff0819054d
米国際教育研究所(IIE)が発表した報告書「オープン・ドアーズ」によると、米国内の大学や大学院などの高等教育機関に2023~24年度に在籍した留学生は112万6690人で、過去最多となった。前年度比7%増で、新型コロナ禍後は増加傾向が続いている。 米商務省は、留学生が2023年に払った授業料や生活費などによる経済効果は500億ドル(約7兆7085億円)に上ったとしている。 英国やカナダ、オーストラリアなどとの競争が激化しているにもかかわらず、米国は依然として世界中の留学生に最も人気のある留学先だ。 「米国は留学生の受け入れで世界トップを維持している」と、IIEの調査・評価・学習部門の責任者ミルカ・マーテルはオンライン会見で述べた。 2023~24年度に在籍した留学生で最も多かったのは大学院生で、前年度比7.6%増の50万2291人。こちらも過去最多となった。2022~23年度は同21%増、2021-22年度は同17%増だった。 国別ではインドからの留学生が33万1602人で、前年度比23%増と大幅な伸びを示し、2009年以来初めて中国を抜いて最も多くの留学生を米国に送り出した国となった。パンデミック以降、米国のカレッジや大学に入学したインド人学生数はほぼ倍増している。 IIEによると、米国の高等教育機関における学生総数に占める留学生の割合は現在5.9%。教育機関が留学生の受け入れを強化し続けているため、さらに増加する公算が濃厚だ。 米国務省教育文化局で学術プログラムを担当する臨時国務次官補代理のマリアンヌ・クレイブンは「今年度の留学生数は過去最多となる見込みで、非常に喜ばしい」と表明。「コミュニティ・カレッジや学部課程、大学院課程を含む幅広い交換留学プログラムも提供している」と会見で語った。 一方、学部に在籍する留学生数は前年度から1.4%減って34万2875人だった。「学部は4年制であり、パンデミック時の減少の影響がまだ残っていることを考慮する必要がある」とIIEのマーテルは指摘した。 大学院の在籍者数に比べて、学部の在籍者数の影響は尾を引くおそれがある。というのも、4年間学んで学士号を取得した後、修士課程に進んで米国で研究を続ける学生もいるからだ。
留学を足がかりに就労する学生も過去最多に
中国からの留学生数も減少した。インドに続いて2番目に多いものの、前年度比4.2%減の27万7398人にとどまった。インドと中国で全留学生の54%を占める。 ただし、オープン・ドアーズのデータでは、他の地域からの留学生が目立って増えたことも示されている。南アジア、サハラ以南アフリカ、中南米からの留学生が増え、バングラデシュやネパール、ガーナ、コロンビアなどの国々は過去最多を記録した。 学ぶ地として留学生に最も人気のある州はカリフォルニア、ニューヨーク、テキサスで、全米44州で留学生数が増加した。留学生が最も多かったのはニューヨーク大学で、2万7247人が在籍している。 留学生が卒業後に専攻分野に関連する職種で就労できるオプション・プラクティカル・トレーニング(OPT)制度を利用した学生は過去最多となり、前年度比22%増の24万2782人だった。OPTを米国での就職の足がかりとして活用する留学生は大学院に多く、OPTの大幅な増加は大学院留学生人口の増加を反映している。 「OPTは留学生の学業経験において不可欠な要素であるため、留学生の総数に含めている」とマーテルは説明した。「留学生が学ぶカレッジや大学がOPTを支援しており、留学生が専門とする分野で実践的な経験を積むための就労機会を提供している」 留学生の入学者数はほぼ横ばいで、前年度比0.1%増の29万8705人だった。パンデミックの影響で入学者数は落ち込んだが、ここ数年は反動で急増しており、「2023年の入学者は0.1%増と前年並みで落ち着いた」という。 専攻分野として最も人気があるのは引き続きSTEM(科学・技術・工学・数学)で、留学生の56%が専攻している。これは世界の雇用傾向、特にハイテクが経済の原動力となっている状況に沿ったものだ。留学生の19%が工学を学んでいる。 オープン・ドアーズによると、単位取得を目的に外国に留学する米国人学生も増えており、2022~23年度(米国への留学生のデータから1年遅れでまとめられている)は前年度比49%増の28万716人だった。これは、大学が留学プログラムを停止して多くの国が入国制限を行ったパンデミック時からの回復傾向が続いていることを示している。
Anna Esaki-Smith
0 件のコメント:
コメントを投稿