Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/063b7e7f0a7475663bb866da2a454a664fd2daf2
【列島エイリアンズ】 訪日外国人客が運転するレンタカーによる交通事故が続発している。なかでも一時不停止が原因とみられるケースが少なくない。日本の一時停止の標識は赤い逆三角形の中央に「止まれ」の文字だが、世界的に見て一時停止は赤い八角形が主流で、この違いが事故の一因になっている可能性もある。 日本の運転免許証を持たない外国人が訪日して運転する場合、原則としてジュネーブ条約に基づき発行される国際免許証が必要だ。ジュネーブ条約には欧米各国や韓国、タイなど100以上の国と地域が加盟している。ちなみに台湾は非加盟だが、日本との二者間協定により、台湾の運転免許証に加えて正規機関発行の日本語の翻訳文を携帯することで日本での運転が可能だ。 一方で、訪日外国人の最大の送り出し国である中国は、ジュネーブ条約にも加盟しておらず、日本との二者間協定も結ばれていないが、訪日時にレンタカーを利用する中国人は少なくない。那覇市内のホテルに勤める日本人男性もこう明かす。 「中国国籍の方でもレンタカーで来られるお客さんは少なくない。割合で言うと、個人旅行者の10組に2組くらいはホテルの駐車場を利用している」 その背景には、通常は取得できないはずの国際免許証が中国人の間で不正に出回っている疑惑がある。 2018年には国内で、訪日中国人観光客がフィリピンで不正に発行された国際免許証を使ってレンタカーを借りていたケースも確認されている。フィリピンの運転免許証を持たない人物に対しても、インターネットを通じて同国の国際免許証を発行している不正業者が存在するという。 そうしたなか、レンタカー事業者らによる業界団体は、各国・地域が発行する国際免許証の確認点をまとめたマニュアルを作成するなどして対策を講じた。その結果、フィリピン発行の国際免許証を使う訪日中国人は減ったとみられている。 しかしその後、日本での運転を希望する中国人は別の方法で国際免許証を取得しはじめたようだ。香港在住の日本人男性が明かす。 「中国本土の運転免許証を保有していれば、原則として即日、無試験で10年有効の香港の免許証に切り替えができるんです。ただ、香港は左側通行で中国は右側通行という違いもあり、香港で事故を起こす中国人ドライバーは少なくありません。そして香港の免許証はジュネーブ条約の適用を受けるので、国際免許証の発行が可能。海外旅行好きの中国人には、国際免許証を発行するために香港の免許証を取得する人が多い」 不正とは言えないまでも、いわば運転免許証ロンダリングである。国際免許証をこの方法で取得した者と、フィリピン発行の国際免許証をネットで買った者と、日本で運転するドライバーとして一体どちらが安全といえるだろうか。 =つづく ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
0 件のコメント:
コメントを投稿