Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/312bb9afdd8c9d9d4c7ddca90d82dceb0b047bcf
【列島エイリアンズ】身分証偽造業者編(1) 今年9月、国内最大規模といわれる在留カード偽造業者が摘発された。 警視庁と兵庫県警など5県警からなる合同捜査本部が、偽造した在留カードを外国人ブローカーに提供したなどとして、出入国管理法違反の容疑で中国籍の男女5人と日本人の計6人を逮捕したのだ。 彼らが偽造拠点としていた千葉県内の家屋からは、大量のカードやホログラムシールのほか、外国人2万人分の名前が記載された顧客リストも押収されている。6人は昨年8月以降、最大1億4000万円を売り上げたとみられ、偽造組織の摘発例としては類を見ない規模だ。 在留カードは、日本に居住する外国人に交付される就労制限の有無や許可された在留期間などが記された身分証だ。就労や銀行口座開設、携帯電話契約などの際には提示が求められる、日本で生活する上でなくてはならないカードだ。 しかし、そのニセモノが蔓延すれば、本来、就労や在留の資格のない外国人まで、市民として生活できてしまうことになる。 この過去最大級と言われる大捕物があったにもかかわらず、中国のSNSのコミュニティーをのぞくと、いまだに「超級コピー品あります」などと偽造在留カード業者による書き込みが、複数投稿されたままである。 そのなかの1つに、購入希望者を装ってメッセージを送ってみた。するとすぐに「1枚350元(約7000円)だ」と返答があった。銀行振込で支払いを済ませたのち顔写真を送れば、1時間内に券面のサンプル画像を送付し、問題なければ翌日に郵送するという。これが本当だとすれば、国内に偽造拠点があることは間違いないだろう。 「何枚ほしい?」と尋ねる先方に、筆者は適当に「20枚程度必要だ」と答えた。すると、大口顧客と見なされたのか、相手が色めき立つのが分かった。「うちは偽造カード以外もそろっている。偽造運転免許証、保険証、学生証、なんでも言ってくれ」 在留カードに止まらない、身分証偽造の実態を垣間見るべく、筆者はこのままこの業者とやり取りを続けることにした。 =つづく 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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