Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/9974bb220431d298b29d62c7eaf25dfe3a4f61a5
(ブルームバーグ): ネパールと中国の国境に近い山岳地帯で26日発生した大規模な鉄砲水は、村々を襲い、道路や橋を押し流した。これまでに270人余りの死亡が確認されたほか、少なくとも1400人が行方不明となっており、犠牲者の数はさらに増える見込みだ。
世界各地で発生する鉄砲水は極端な豪雨によって引き起こされることが多い。だが、今回はそれが原因ではなさそうだ。初期調査では、ネパールの氷河が引き金となった可能性が高いことが示唆されている。
ネパールは高い山が多く氷河が急速に変化しているため、とりわけ鉄砲水が発生しやすい。気候変動によってヒマラヤの気温が上昇するにつれ、こうした危険はさらに増す見通しだ。ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域全体では、氷河湖に関連する鉄砲水のリスクは今世紀末までに約3倍になると見込まれている。
鉄砲水の原因は
鉄砲水はしばしば豪雨が引き起こす。短時間に大量の雨が降ることで、地面や河川、排水設備が吸収しきれなくなるためだ。
干ばつが続いた後には、問題がさらに悪化することも多い。乾燥してもろくなった土壌は、雨水を吸収しにくくなっている可能性がある。建物が密集する地域では、コンクリートなど水を通さない地面によって水が急速にたまることがあり、特に排水設備が長時間続く豪雨に対応できるよう設計されていない場合、そのリスクは高まる。
ネパールやスイスのような山岳地域では、まったく別の原因で鉄砲水が発生する。その原因とは、氷河だ。氷河が季節外れの高温などによって不安定になり、氷や岩石の大きな塊が突然崩れ落ちて下方の河川や湖に落下し、一時的に水の流れをせき止めることがある。その氷の壁が決壊すれば、たまった水が一気に下流へ押し寄せてしまう。
氷河による湖は、別の過程でも形成される。気候変動によって氷河が溶けると、その水が山頂の間や氷の下に徐々にたまって湖になることがある。こうした湖は不安定化しやすく、岩石などによる衝撃で決壊し、下流に壊滅的な被害を及ぼす恐れがある。
ネパールの鉄砲水の原因は
今回のネパールの災害は、大雨が原因ではないようだ。ネパールと中国の当局者によると、26日の鉄砲水発生に先立つ期間に国境のいずれの側でも目立った降雨があったとの記録はない。
当初の報告では、強い地震が土石流を引き起こした可能性が示唆されていた。ところが、米地質調査所(USGS)が共有した衛星データは、中国と国境を接するネパールの山岳地帯ラスワで、氷河の一部が崩落したことを明らかにした。この崩落は極めて大規模で、マグニチュード5.2に相当する地震波を発生させた。
映像に基づく暫定的な観測では、崩れ落ちた氷がボテコシ川の支流をせき止め、水が急速にたまった可能性が示される。この氷の壁が決壊し、せき止められていた水と土砂が一気に下流へ押し寄せれば、下流地域は鉄砲水に見舞われる。
国際総合山岳開発センター(ICIMOD)によると、この洪水波は極めて激しく、一部の地域では30分間で最大9メートルも水位が上昇した。
ネパールが地滑りや鉄砲水に見舞われやすい理由は
主要な山脈として世界で最も若く、地質学的に最も不安定なヒマラヤ山脈の中心にネパールは位置している。その急峻(きゅうしゅん)な斜面と地震多発地帯という地質的条件により、土砂崩れが発生しやすい。都市化やインフラ整備といった人間の活動も、そのリスクを高めている恐れがある。
深く狭い谷が多いという地形も、地滑りや洪水の被害を拡大させ得る。山あいを流れる川は幅が狭く、わずかな氷や岩、土砂などで容易にふさがれてしまう。その壁がひとたび崩れると、狭い所にたまった水が殺到するため、開けた場所に比べて水の勢いも増す。
道路の整備状況も悪く、災害時の緊急対応が困難なことも多い。
季節的な降雨のパターンも懸念を強める。ネパールの年間降水量の最大80%は、6月から9月まで4カ月の雨期に集中する。このような集中的な雨は土壌を急速に軟らかくするとともに土砂を洗い流し、急勾配の斜面を崩落させやすくする。
2024年だけでも、ネパールは2件の大規模な洪水災害に見舞われている。同年9月には集中合意で首都カトマンズとその周辺を含む全国で深刻な洪水や土砂崩れが発生し、最終的に246人が死亡した。
もう1件はエベレスト地域で2つの氷河湖が決壊し、トレッキングの拠点として有名なターメ村を飲み込むなど広範囲に及ぶ洪水を引き起こした。これにより130人余りが避難を余儀なくされ、数十軒の家屋が破壊された。決壊した氷河湖からはオリンピック規格のプール185個分に相当する水が放出されたと、ICIMODの科学者は指摘した。
気候変動も問題を悪化させているのか
ヒマラヤ地域の水循環は雨期に大きく依存している。同地域が乾期でも状態を維持できているのは、必要な雨の大半を雨期がもたらしているからだ。
だが、気候変動でかつては予測可能だったこのパターンが乱され、同地域における異常気象のリスクは増している。ICIMODの最近の報告書によると、今年はエルニーニョ現象で干ばつや山火事、洪水、地滑りの発生確率を高めている。
国連の科学機関、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、気候変動は極端な降雨も激化させている。気温の上昇で空気中の水蒸気量が増加し、短時間で大量の雨が降るようになる。場合によっては、通常なら1日か2日かけて降るはずの雨量が、わずか2-3時間で降り注ぐこともある。
原題:What Caused Nepal’s Flash Flood? Here’s What We Know: Explainer(抜粋)
--取材協力:Yasufumi Saito、Adrian Leung、Jin Wu (News).
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Lou Del Bello
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