Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/8c849d385f265c021b498f5161fe5344f6e22ed2
新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った人を対象とした生活福祉資金貸付制度の特例が始まってから、3月末で1年が経過した。全国社会福祉協議会によると、2020年3月末からの1年間で貸し付け申請は207万件を超えた。申請や償還を担う社協からは「200年分が1年で押し寄せている」と悲鳴が上がる。各地の社協に実情を聞いた。 ■田中慎吾・豊島区民社協地域相談支援課長 4月5日現在、申請件数はおよそ1万6000件です。要件が違うため比較は難しいですが、2019年度の貸し付け実績が3件ですから、異次元の数字です。飲食店員やタクシー運転手、ナイトワーク、建設作業員、音楽家、留学生ら年代や職業はさまざまです。豊島区の特徴としては、申請者に占める外国人住民の比率が高く、半数近くを占めます。 このような多種多様で膨大な数の申請者に対応するため、昨年4月初旬に特例貸付担当課を設け、他職員も応援に入りオール社協体制で取り組みました。切迫した状況への焦りから不満をぶつけられることや、外国人住民との難しい意思疎通など幾多の困難に直面しましたが、使命感とチームワークで何とか乗り切ることができました。 申請のピークを過ぎた昨夏から臨時職員の雇用を始め、職員の兼務を段階的に解除し、3月末には担当課を解消して現在は臨時職員が中心になって対応しています。2月からは、外国籍の中でも、特に申請が多いミャンマー、ネパール、ベトナム国籍に対応するため、それぞれの国の留学生を通訳アルバイトとして雇用しています。 職員の中には当初、丁寧な相談支援ができないジレンマを抱える職員もいました。それでも、支援機関のチラシを手渡したり、同じ建物内にある生活保護の申請窓口まで同行したり、寄付があった食料を提供したりするなど、できる限りの生活支援をしてきました。 こうした支援のうち、およそ半数が外国人世帯です。顕在化した生活基盤が弱い人を今後、地域の中でどう支えていくか、継続的なアクションが必要です。現在、NPOや弁護士と連携し、食料支援を通じた外国人世帯への相談支援を展開できないかを模索しています。 また、区の委託事業で、区立小学校単位で設置しているコミュニティ施設「区民ひろば」8カ所にコミュニティーソーシャルワーカー(計18人)を配置していたことが、今回のコロナ禍で功を奏しました。ワーカーが特に気になる人の相談支援を担い、支援機関につないだケースもあります。障害のある子どもを持つシングルマザーの自宅を訪問し、申請書類の記入をサポートしたこともあり、今でもつながりを持っています。 比較的短期間で、かつ幅広い層の方が借りられる特例貸付は、コロナ禍の生活支援策として意義があったと思います。ただ、1人では手続きができない方や自ら情報にたどり着けない方が取り残されないよう、アウトリーチによる伴走支援ができる体制や仕組みも必要です。
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