Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/6d7e85e3a92f6713caaa6072c2e3d7115936fbf4
【列島エイリアンズ】出会い系外国人編(5) お見合いサイトで出会った自称〝海外育ちの30代日本人女性〟に、一度も対面せぬまま1000万円をだまし取られた四国在住の農家、60代男性。言わば、結婚詐欺被害に遭ったわけだが、「色ボケ」というなかれ。これぞ全国で被害者が続出している組織的「国際ロマンス詐欺」の典型的手口なのだ。 詐欺事件に詳しい加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士が明かす。 「コロナ禍以降、私のもとにもこうした(詐欺の)億単位の被害相談が複数件きています。最近は、特に中高年男性がターゲットにされている」 ある犯罪組織の〝周辺人物〟であるA氏は、巧妙に仕組まれた国際ロマンス詐欺の手口を明かす。 「特殊詐欺の組織は、出会い系サイトに登録してカモを探す、いわゆる『打ち子』を大量に抱えている。最近、この打ち子になるのは、コロナ禍でバイトや仕事がなくなった留学生や外国人技能実習生が多い。普通の詐欺なら日本語が堪能でないと使えないけど、外国人や海外育ちの日本人を演じさせる国際ロマンス詐欺なら、カタコトでも不自然ではないので好都合」 信用を獲得したらFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨への投資を勧め、取引業者を紹介するというのがパターンだ。 「そこで紹介される業者も架空で、グル。業者が提示する相場の値動きは実際の市場とは関係のない架空のもので、最初は儲けさせ、自信をつけたカモに大金を投入させたところで一気に損をさせたり、適当な理由で口座を凍結させたりして金を奪う」 筆者も、60代男性が振り込みを行ったFX業者についてネット上で調べてみた。するとやはり、海外でも被害届が出ている「ダミー業者」であることが分かった。 また、男性が1000万円を振り込んだ国内銀行口座の名義は、ベトナム人風の名前だったが、これも最近の潮流と合致する。 「特殊詐欺グループは、足がつかないよう他人名義のいわゆる〝トバシ口座〟を送金先に指定しますが、このところ、コロナ禍を機に帰国する外国人から銀行口座を買い取るケースが増えている。なかでも、国籍別で特に多いのがベトナム人名義の口座です。犯行に使われた口座が特定できても、名義人が帰国してしまった後では、日本の警察もその先を追跡することは難しい」(前出の加藤弁護士) 近年の国際ロマンス詐欺の被害増加は、まさにコロナ禍の副産物だったのだ。 仕事も生活もリモート化が進んだが、リモートの色恋話は簡単に信用しない方がいい。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
0 件のコメント:
コメントを投稿