2019年3月28日木曜日

災害時の“情報難民”なくせるか 外国人らが橋渡し役、自治体の取り組み

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00010012-nishinpc-soci&p=2
3/28(木)、ヤフーニュースより
 共に生きる「隣人」として外国人を受け入れる準備は整ったか。改正入管難民法の4月施行を前に、最前線の現場から報告する。

 「何が起きているのか全然分からない」「チケットはキャンセルできる?」

 昨年9月4日深夜、フェニックステレビ(香港)東京支局長、李ミャオさんのブログに中国語のメッセージが立て続けに届いた。台風21号の高潮で大阪湾に浮かぶ関西空港は各所が水没。連絡橋にはタンカーが衝突し、通行不能になっていた。李さんはスマートフォンで返信し続けた。

 関空に閉じ込められた利用客は約3千人。3分の1が中国人だった。案内所スタッフで中国語を話せるのは4人だけ。館内放送は中断し、薄暗いロビーは「情報難民」であふれた。

 同21日、政府が開いた緊急会議に呼ばれた李さんは、多言語で情報発信する体制整備を訴えた。1週間後、多言語での24時間相談窓口などの対応策がまとまったが、会員制交流サイト(SNS)の中国語での発信は「英語と比べて経験や蓄積があまりない」(日本政府観光局)との理由で、まだ体制が整わない。

 李さんは嘆く。「もてなしの国というイメージがあるのにもったいない」
「試行錯誤するしかない」
 2003年に500万人だった訪日外国人旅行者数は18年、初の3千万人を突破した。災害時の情報発信をどうするか、自治体も動きだした。

 神戸市は昨年秋、短文投稿サイト「ツイッター」に英語、中国語、韓国語、ベトナム語で発信するプロジェクトを打ち出した。避難情報や交通状況を伝える4カ国語の広報文を11通り作成し、発生時に震度などを加えて即座に発信するという。

 ただ、ツイッターが一般的なのは英語圏などで、中国人が使うのは「微博(ウェイボ)」だ。市はテレビ局と連携し、スマホで情報を入手できるQRコードを放送時に画面表示してもらう考えだが「手間をかけてそれを使う外国人がどれだけいるか」(市担当者)。

 福岡市は14年末、災害発生をスマホに通知し、英、中、韓3カ国語の防災ページに移る仕組みを整えた。ただこれも、スマホを市の公衆無線LAN(Wi-Fi)に接続していないと情報は届かない。担当者は「技術の進歩を見極めながら試行錯誤するしかない」と頭を悩ませる。
インバウンド時代の地域づくり
 情報は届かなければ意味がない。東日本大震災を経験した仙台市。英、中、韓3カ国語でラジオにも情報発信できる「災害多言語支援センター」があるが、それだけではない。

 「災害時言語ボランティア」。市在住の外国人らが橋渡し役になり、避難所の外国人に直接情報を届け、通訳もこなす。約70人が登録している。

 ネパール人のドゥワディ・アルンさん(39)が加わったのは2年前。きっかけは震災時、家族と避難所で2日間過ごした体験だった。「炊き出し」「物資」など聞き慣れない言葉が飛び交い、不安になった。「自国語を聞いた時はものすごくほっとしたんだ」

 市はアルンさんのような外国人コミュニティーのキーマンに、ボランティア登録を呼び掛ける。もし旅先で災害に巻き込まれても、そこに暮らす母国の「先輩」が駆け付けてくれる-。インバウンド時代の地域づくりが進む。
西日本新聞社

0 件のコメント:

コメントを投稿