Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/9197ef890c5d81207feb124b0e1ddda21aa5d914
(CNN) 飲み会の席でよく出てくる雑学に、世界で唯一、長方形でも正方形でもない国旗は、というのがある。 【画像】サッカー観戦前に顔にネパール国旗のペイントをする女性 答えは、ネパール。しかし、その珍しい形という単純な事実を超えて、ネパールの国旗にはちょっとした謎がある。 質問する相手にもよるものの、ネパールの国旗が表すものは、天の動き、近代国家の建設、仏教とヒンドゥー教の遺産、アジアの誇り、政治的な駆け引き、あるいはこれらの全ての組み合わせだ。 ネパールの国旗は他の国旗の中でも簡単に見つけることができる。旗は、二つの真紅の右向きの二等辺三角形で構成されており、紺色の枠線と、太陽(下半分)と月(上半分)を表す二つの図像が施されている。 米マサチューセッツ州にあるホリー・クロス大学の歴史学教授でネパール出身のサンジョグ・ルパケティさんによれば、「シングルペノン」や「ダブルペノン」といった特定の形状の旗はネパールに特有のものではなく、南アジアやインド亜大陸で長い歴史を持つという。 「我々は学校で、太陽と月は国家の永遠を表し、三角形はおそらく、ネパールで知られる(ヒマラヤの)山々を表すと教わった。歴史家としては、これらの象徴は、この地域の多くの支配層が自分たちの家系図に描くことが多かった神話的で古代の輝かしい王朝を表しているという考え方が、より説得力のある解釈だと思う」(ルパケティさん) 赤い色は、ネパールの国花である「シャクナゲ」を表していると信じている人がいれば、戦いと勇気を象徴するものだという人もいる。 ルパケティさんによれば、ネパールの歴史学者でさえも国旗の詳しい背景について完全にはわかっていない。
歴史を紡ぐ
ネパール国旗の最も古い描写の一つは、1800年代半ばにネパールに住んでいた、英国の医師で芸術家のヘンリー・アンブローズ・オールドフィールドによるスケッチだ。英国の記者で旅行作家のパーシバル・ランドンも著書「ネパール」のなかで国旗について触れている。 ランドンが撮影した国旗の写真は白黒だが、注釈で、国旗の縁取りが青ではなく緑であることを明確にしている。 ランドンが描いたものも含め、以前の国旗では、太陽と月に人間の顔が描かれていた。 ネパールで民主主義が確立される以前は、一般のネパール人のほとんどは自宅で国旗を掲揚することを禁止されていた。 ルパケティさんによれば、国旗の掲揚は政府施設の敷地内でのみ可能だった。「形や大きさだけでなく、いつ、どのように、誰が国旗を掲揚できるのかについて、非常に厳格な指針があったことは間違いない。しかし、民主的な実験が始まると、それは徐々に変わり始めた」。現在では、国旗はどこででもみられるという。 国旗マニアのなかで、ネパールの国旗は人気がある。北米旗章学協会(NAVA)のテッド・ケイさんによれば、ネパール国旗の歴史や形状については、よく会話にのぼるという。 ケイさんは「地図と国旗には、文化的かつ地理的に興味深い重なりがある」と指摘。残りのアジアの国々は、国旗は長方形であるべきだという植民地時代の見解に屈したが、ネパールはこれに抵抗し、そのことはアジアの歴史的な旗とつながっているとの見方を示す。 雑学好きは、ネパールの国旗が四角形ではないことに引かれるかもしれない。しかし、ネパール国旗は数学者の研究対象ともなっている。 マヘンドラ国王は1962年、数学者に対し、国旗の標準化に使う大きさと形状の正確な仕様を作成するよう依頼した。これらの仕様は憲法に明記されている。 ネパールの珍しい国旗の形は国際的なイベントでも課題となっている。オリンピック(五輪)では、すべての国旗を2対3の比率で表示しなければならないという規則があるため、一部の国旗は奇妙に引きのばされて見える場合がある。 五輪の過去の大会では、ネパールの国旗を白い長方形の背景にくっつけることで標準化しようと試みたこともあったが、国際オリンピック委員会(IOC)が、ネパールの国旗はそのままでいいとの決定を下した。 ネパールは再び、この規則の誇り高い例外だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿