Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/75dfc67230ef6561c1507df25ae4427bd674d350
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月30日(月)~9月3日(金)のゲストは株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子。5日目は、マザーハウスの今後について― 黒木)「つくる、売る、伝える」というなかで、「伝える」ということがまだ未分野というか、それを知らせたいということが印象的に残っているのですが、山口さんの理念が多くの方に浸透することが1つの目標でもありますよね。 山口)つくるタイプの人間なので、一生懸命つくって、力尽きてしまうことがあるのです。売ることをチームにバトンタッチしてもらってやってはいますが、きちんと人に伝わらなければダメですよね。「語ればたくさんのこだわりがあるのに、その1%でも伝えようとしているのかな、自分」と、コロナ禍で反省しています。自分の言葉を文章に書くことにも努力して行きたいと思います。 黒木)このバッグ、この製品の向こう側にある物語を、手に取ってくださる方が知ると、「このバッグを大切にしよう」というような思いが生まれて、つながりますよね。これからどんなマザーハウスにしたいとお思いですか? 山口)マニアックな話なのですが、プロダクトの品質を3~10倍くらいにしたいと思います。4万円~5万円の鞄をつくれる状態にはなっているのだけれども、世界で戦うのであれば、鞄のなかの芯材が違うし、オリジナルの金具もいつかつくらなければならない。細かい話なのですが、ディティールにそういうものが宿って来ると思うので、どこまでそういうものを地道に積み上げて行けるかというトライをしたいです。 黒木)もともとデザイナーでいらしたわけではないでしょう。そういう勉強をしていないにも関わらず、そこまでのめり込むということですよね。 山口)起業したてのときは、「誰かやってよ、デザインなんて」と思っていたのですが、やればやるほど、根幹は社会への情熱より、「いかにお客様をハッピーにさせるプロダクトをつくれるか」という方がサステナビリティとしても重要なのです。「そこの肝の部分に自分のスキルがなければ意味がない」と思って、のめり込むようになりました。専門学校は出ていないのでハンディキャップはあるけれども、だからこそ、現地の素材を生かした独創的なもので勝負したいという気持ちでやっています。 黒木)山口さんにしかできない製品ですよね。 山口)ありがとうございます。 黒木)24歳で、たった1人で立ち上げたマザーハウスをここまで大きくされて、まだ2合目、3合目なのだという野心は、みんなのため、途上国の人たちのため。そういう思いがあるからこそ続けてこられたのでしょうし、これからも続けて行かれるのでしょうね。 山口)頑張りたいです。
黒木)最後ですので、何かおっしゃりたいことはございますか? 山口)バングラデシュはいま、コロナで日本以上に本当に大変です。大変なのに、インドにワクチンが十分に行き渡ってからでないとバングラデシュにワクチンは来ないと言われています。コロナ禍がいつ終わるのかと思ってはいるのですけれども、そんななかでも、新作をつくり続け、お客さんが喜んでくれるということが、彼らが頑張っている理由になっています。この循環を暖かく、強くして行きたいと思います。
山口絵理子(やまぐち・えりこ)/ マザーハウス代表取締役兼デザイナー ■1981年・埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。 ■ワシントンの国際機関でのインターンを経て、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程終了。 ■2年後に帰国し「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションとして、2006年に株式会社マザーハウスを設立。 ■世界経済フォーラム「Young Global Leader (YGL) 2008」選出。 ■ハーバードビジネススクールクラブ・オブ・ジャパン アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2012を受賞。著書に『裸でも生きる』シリーズ3作などがある。 【マザーハウスとは】 ■『途上国から世界に通用するブランドをつくる』という理念を掲げ、2006年に設立。 ■バングラデシュをはじめ、ネパール・インドネシア・スリランカ・インド・ミャンマーの計6ヵ国で、それぞれの地域の素材や文化を活かしたモノづくりを展開。バッグ・ストール・ジュエリー・アパレル等のデザイン・生産を行い、素材開発から店舗運営までを一貫で手掛けている。 ■生産地は6ヵ国。販売は国内外でおよそ40店舗。世界のスタッフはおよそ700人。
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