2019年4月23日火曜日

今、なぜ外国人雇用が必要なのか?


  今、なぜ、外国人雇用が必要であり、われわれはどのように向き合うべきか。

 外国人雇用の会社を起業し7年目の私たちが見てきた現場のリアルを元に、分かりやすくお伝えするとともに、私たちが提唱する『達観した外国人雇用と共生』について、わが社が特化しているベトナム国と日本を軸に、全6回のコラムを書かせていただこうと思います。どうぞよろしくお願いします。

 第1回は「外国人雇用改革の背景」。4月からの入国管理法の改正が施行され、なにかと話題の外国人雇用ですが、日本の現状、少子高齢化、労働人口減少等々の現状をお伝えし、今、なぜ、外国人雇用のトレンドがあるのかをひもといていきます。ぜひ、お付き合いいただければ幸甚です。

 現在の日本において、外国人労働者を見ない日はないと言っても過言ではないと思います。

 この背景には幾つかの要因がありますが、その1つに、日本の人口が減っていくことも挙げられます。

 少子化は、学校法人の存続、学校数にも影響しますし、その先には労働人口にも影響を及ぼします。

 これらの背景を勘案すると、外国人を日本に招致する必要があるのですが、現在の日本は移民政策ではないとする、なんともファジーな立ち位置を取っています。

 この連載の中盤で触れますが、ドイツは1950年代からイタリア、ポルトガル、トルコ、ギリシャから人を迎える移民政策に踏み切りました。現在は、その方たちが高齢化して社会保障が課題となっており、『労働力を呼んだつもりが、やって来たのは人間だった』という、なんとも灌漑深いメッセージが発信されています。

 これらを勘案すると、確かに、日本も外国人雇用を慎重に推進する必要があるようにも見て取れます。

 下記の統計図をご覧ください。

■高度経済成長期(1970年)

  小職の生まれた時代であり、戦後の日本が最も勢いがつき始めた時代かもしれません。団塊世代がモーレツ社員となり働き、団塊ジュニアといわれるわれわれ世代がうまれた時代です。

■バブル期(1980~2000年)

  もはや死語ですが、『DINKS(Double Income No Kids)』という言葉がトレンドになった時代でもあります。そして、バブルを迎え、崩壊した、あの時代です。

■現在(2015年)

  このあたりから、街に外国人留学生、アルバイト、労働者が増え始め、技能実習生制度も活性化されたという時代です。コンビニの店舗従業員のほとんどが外国人になっていきます。

■近未来(2025~2050年)

 超高齢者時代の到来です。しかも、うれしいことに?医学も発展し、ほとんどの病気が治るともいわれ、100歳まで生きる方も増えることになるそうです。

 同時に労働人口は徐々に減っていき、ここの代替をどうするかは深刻な問題でもあります。
在日ベトナム人が急増し、30万人は目前
 法務省の資料によると、2017年6月末時点でのベトナム人在留者数は23万2562人で、その数は毎年増加しています。2019年には30万を超えるともいわれている勢いです。

 在留者を大別すると、「留学生」「技能実習生」「就労者」「永住者含むその他」となり、中でも技能実習生の増加が目立ち、10万4802人。ベトナム人技能実習生の数が10万人の大台に乗ったのは初めてのことであり、中国人の7万9959人を大きく凌駕しています。

 また、留学生の数も増加の一途であり、2017年末に日本学生支援機構(JASSO)が発表した『2017年度外国人留学生在籍状況調査』によると、2017年5月時点でのベトナム人留学生数は6万1671人で、前年度の5万3807人と比べて約15%増の7864人増加。ベトナム人留学生の数は中国に次いで第2位につけています(ちなみに、中国とベトナムに続く3位以下はネパール、韓国、台湾、スリランカ、インドネシア、ミャンマー、タイ、マレーシアの順)。

2020年をめどに進む『留学生30万人計画』 日本には『留学生30万人計画』が発動されており、文部科学省ほか関係省庁(外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)は、これに取り組んでいます。『留学生30万人計画』は、日本をより開かれた国とし、アジアのヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年をめどに30万人の留学生受入れを目指すものです。

 この在留者数増加の背景をベトナム人から見ると、「賃金差のある日本で就学し、その技術を学び、自国に持ち帰えるとともに、許された範囲での労働をし、効率的に外貨収入を得ることを両立させている」わけですが、これに加え、日本語学校増加による生徒獲得や人手不足による技能実習生制度活用の活性化も増加の要因であり、このあたりがさまざまな課題を含んでいるのも事実であります。

 次回はこうしたことを取り上げます。第2回は『外国人雇用を取り巻く負のスパイラル』と題し、ネガティブなニュース、悲しい出来事、現場のリアルをお伝えします。

 これは、これからの外国人雇用が売り手市場になる要因と強くつながっているので、じっくりお伝えしたく思います。それでは、また次回をお楽しみにください。



<今後の連載内容>

■第2回「外国人雇用を取り巻く負のスパイラル」:ネガティブなニュース、悲しい出来事、現場のリアルをお伝えします。

■第3回「なぜ日本を目指し、日本に何を求めるのか?」:彼らの思考、行動、キャリアパスなどをお伝えします。

■第4回「ベトナムから見た日本の真価」:読者の視点をベトナムに移し、リアルな視点をお伝えします。

■第5回「達観した外国人雇用」:日本都合の雇用ではなく、双方にメリットのある有効的雇用事例をお伝えします。

■第6回「私たちの挑戦と目指すべき共生」:真の共生とは何か、私たちが提唱する成功モデルをお伝えします。

 
(株)asegonia 代表取締役 井上 義設

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