2019年4月23日火曜日

国内初の特定技能試験、受験者は出願の半分 偵察や滑り止めも

4/16(火) 、ヤフーニュースより
 働く外国人の受け入れに向け、4月に新設された在留資格「特定技能」の国内初の試験が14日、東京、福岡など全国7都市であった。業種は「宿泊業」。札幌以外は定員に達していたが、実際の受験者数は申込者計761人のうち、約半分の391人にとどまった。福岡の会場では他都市からの「遠征組」や留学業界の「偵察」、就職活動の「滑り止め」というケースもあった。
 福岡では申込者101人のうち、44人が筆記と実技の試験を受けた。主にベトナム人とネパール人の留学生や元留学生で、ある受験者は「一緒に来るはずだった友達は就職が決まったから来ない」と話した。

 受験の条件は日本語能力「N4」(基本的な日本語を理解できる)レベル。筆記は選択式で、基礎知識30問が出題された。佐賀県の元留学生のネパール人男性(25)は「ふりがながあって簡単」。東京会場が募集を締め切っていたため、東京から往復2万円以上をかけて来たネパール人男性(26)も「丸を付けるだけ。合格できると思う」とほっとしていた。
 実技試験は5人一組で行い、面接官の質問に答える形式。ホテルのパンフレットを短時間で覚える試験や、「すき焼き」「天ぷら」「すし」といった注文に応じて、料理の写真を選ぶ試験などがあった。

 就職活動中という福岡市の大学4年のベトナム人女性(23)は「本命は福岡の地場大手。特定技能で働くつもりはないが、就活の滑り止めにはなる」。出題傾向を探ろうと「偵察受験」した語学学校職員のネパール人男性は「専門知識や業界用語があり、N4以上でも難しい」と分析した。

 一方、沖縄から日帰り受験したネパール人男性(29)は「朝までコンビニで働き、ほぼ徹夜。寝不足と耳鳴りで質問がうまく聞き取れなかった」と不安げ。就職活動用のビザの期限が10月に迫り、「受からないと帰国しかないのに…」と言い残し、会場を後にした。
 政府は今後5年間で最大約34万人の外国人労働者の受け入れを見込み、宿泊業はそのうち2万2千人。面接官を務めた宿泊業者は「訪日客の急増で、日本語と英語が話せる外国人は即戦力」と期待する。

 初回の試験では、申込者の半数が受験しなかったという課題も浮かんだ。観光庁は「結果を踏まえて検討し、次回の運用に生かしたい」としている。合否の発表は5月25日。宿泊業の試験は年2回予定だが、次回の日程や開催地は決まっていない。

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