Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/2f60520496211e1f725e1eee854b18ea5e16d1a2
特集は長野県松本市でカレー店を営むネパール人男性の奮闘です。男性の夢は、子どもたちが待つ故郷に学校を建設すること。自慢のカレーを多くの人に味わってもらい、夢を実現させようとしています。
スパイシーな香りが漂う厨房。 「アジアンカリーハウス」・アラジン・カンデルさん: 「お待たせいたしました。チーズナンランチのマトンカレーです」
客: 「めちゃくちゃうまいです。(マトンカレーは)肉々しさが爆発してる感じでおいしい」
2020年12月にオープンした、松本市県の「アジアンカリーハウス」。来日7年目のネパール出身のオーナー、アラジン・カンデルさん(38)が腕を振るいます。
アラジン・カンデルさん: 「だいたい普通に一日4、50人。ランチとディナーでやってたけど、今はコロナの関係で半分になってる」 新型コロナの影響を受けているものの、味には自信があるアラジンさん。それは料理人としての経験に裏打ちされています。
日本から5000キロ以上離れたネパール。アラジンさんはヒマラヤ山脈の名峰の一つ「ダウラギリ」の麓の出身です。
高校卒業後、国を出てインドのホテルに就職。家庭を築きながら13年間、カレーの本場で腕を磨きました。その後、日本にいた友人の誘いで2015年に来日し、熊本の店で働きました。
2018年には松本市へ。市内の店で働いて貯めた資金で、2020年12月、自分の店をオープンさせました。日本には以前から良い印象があり、働きたいと考えていたそうです。 アラジン・カンデルさん: 「日本好きで、インドやネパールにいた時も日本人の仕事のやり方とか、誰か困ってる時に日本人はちゃんとヘルプするから。(松本の雰囲気は)ネパールみたい。寒かったり、あったかかったり、体に合う」
アラジンさんのカレーはタマネギ、ホウレンソウ、トマトの3つの味をベースに、16種類ものスパイスを駆使して作られる「本場の味」です。
アラジン・カンデルさん: 「16種類の(スパイスが)全部入ってます。『すごい疲れたね』みたいな時も辛いカレー食べたら体が強くなる」
店では38種類のカレーを提供しています。 客: 「すごく辛いけど、深みがある味でとてもおいしい」 「コクがあるというか、うまいよね。ナンによく合ってる」
アラジンさんにとって、18歳で国を出て料理人になったのも、遠く離れた日本で店を持ったのも、夢を実現させるプロセスの一つでした。 アラジン・カンデルさん: 「学校あったらみんな楽しい。困っている子ども、お金、学校、服、食べ物ない弱い人が多い、ネパール人は」
故郷に学校を…それがアラジンさんの夢です。
定期的に、現地で教師をしている親戚のスレさんとテレビ電話で、学校建設の打ち合わせをしています。 長く苦境が続いたネパール。1996年から10年に渡って続いた内戦と、2015年の大地震で多くの国民が亡くなり、学校や寺院は荒れ果てました。 学校を建設したいと思うようになったのは、18歳で国を出たころから。内戦のしわ寄せが多くの子どもたちに及んでいたからです。
アラジン・カンデルさん: 「一番困っているのは子どもたち。普通のことや食べ物で。パパもいない、一人だけで歩いてる、10歳、12歳から働いてる子どものために」
少しずつ貯めた資金と現地の人の協力で2021年7月、ついに1500平方メートルの土地を購入。これに3階建ての校舎を建設する計画です。 スレさんからは、アメリカやメキシコにいる仲間が支援してくれることが報告されました。打ち合わせのあと、うれしいサプライズが…
アラジンさんの子どもたち: 「ナマステ」 スマホの画面に現れたのは、ネパールにいる息子のアヌプくん(8)と娘のアペチャちゃん(4)です。アラジンさんと妻のアニタさんは、2人の子どもを祖父母に預けて松本で働いています。
アラジンさんの息子・アヌプくん: 「早く会いたいから帰ってきて」 アラジン・カンデルさん: 「コロナ終わったら帰るね」 コロナの影響もあって、もう4年近く子どもたちとは会えていません。電話は毎日していますが、電波の状況が悪く、画面を通して子どもたちと話せたのは2週間ぶりです。 アラジン・カンデルさん: 「長い間、会ってなかったから心配。でも電話で会えてうれしかった」
校舎を建設するには、まだまだ資金が足りません。故郷の子どもたちを笑顔にするためにもアラジンさんは、自慢のカレーをもっと多くの人に味わってもらいたいと考えています。 アラジン・カンデルさん: 「同じ場所で子どもが食べて、勉強して、体、悪かったら相談してホステルみたいな学校をつくりたい。お客さまに喜んでもらえるカレーを作る。いろいろな場所、人気なお店、本当にインドカレーをやるお店をつくりたい」
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