Source: https://www.rim-intelligence.co.jp/news/select/category/AsianViewPoints/article/596160
ネパールの新憲法が、インドとネパール間の関係に亀裂をもたらし始めている。これと同時に内陸国であるネパールは、インドに対するエネルギーや貿易の過度な依存を引き下げようとしている。
事の発端はネパールで制定された新憲法。この新憲法では、ネパールを7つの自治区に分割するとしている。インドはこれについて、ネパールの南部地域の住民が過度に反応する可能性を危惧している。メデシスおよびタルといった部族が居住するテライ地域では、各自治区に設定された境界線を不服として政治的な問題に発展している。この2部族でネパールの人口の40%を占めており、メデシス族は特にインド人とのつながりが深いことで知られている。このため、インドはこの動きが同国に波及することに気を揉んでいる。
ネパールはこれまで、インドと良好な関係を維持してきた。事実、インド石油(IOC)は過去40年に亘り、ネパール石油(NOC)との契約に基づいてインドの国内相場でディーゼルや灯油といった石油製品をネパールに供給している。2006年に修正された貿易協定では、インドは26カ所の貿易地点を設定、そのうち6カ所を双方向の交通機関の要衝として認可していた。特にビルジュンジューラクシュール地点では、インド/ネパール間の最大の貿易量を誇り、その比率は両国間貿易の60%を占める。インドからの石油製品は、総量の30%がネパール船籍の、残りがインド船籍のタンカーでネパールに持ち込まれている。
ただIOCおよびNOC間の石油製品に関する契約は、9月20日に制定されたネパールの新憲法に伴って発生した暴動で凍結されている。新憲法の制定後、上述のテライ地区では全域で暴動が発生。IOCはこれまで、年間130万トンの石油製品をネパールに供給していたが、同地域の動乱を受けてネパールへの物資供給を停止している。
この隙を突いたのがチャイナオイル。同社は10月28日、ネパールとの間で石油製品に関する契約に漕ぎ付けた。これにより、40年に及んだネパールのインド産石油製品の完全依存にピリオドが打たれた格好だ。
IOCは引き続き、ネパールに対して燃料供給の主要な役割を果たすことを望んでいるものの、インフラが整備されていないヒマラヤ山脈を越えてチャイナオイルが石油製品をネパールに持ち込む計画に懐疑的な見方を寄せている。ただ中国の影響がインド/ネパール間の関係に変化をもたらし始めているのは間違いなさそうだ。
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