Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/78a797d3cb3ae6ed86092687cc86a1b87f028394
衆院選の各党の意見が分かれる「同性婚」。法制化について前向きな意見があるのに対し、「国民の家族観に関わる」などと慎重な意見もある。世論調査では国民の7割超が賛成し、札幌高裁が3月、同性婚を認めない法律の規定を憲法違反と判断するなど、社会や司法の理解は深まっている。一方、国会では過去2回、民法改正案が提出されるも反対多数で否決されてきた。静岡県内の当事者からは日本の現状を憂える声があがる。
「家族をつくる〝普通〟の人生が選択できない」
「好きな人と結婚して家族をつくる〝普通〟の人生が選択できないことに絶望した」。そう語るのは磐田市に住むゲイの金原巧弥さん(24)。周囲に相談できず孤独だった思春期を振り返り、「性的指向による葛藤は同性婚がないことが一因だ」と訴える。 最寄り駅から車で約30分の茶畑に囲まれた家の4人兄弟の末っ子として生まれた。小さい頃は家業のお茶栽培を手伝い、近所には親戚も多く、「〝普通〟の家族のあり方が決まっている世界だった」と金原さん。 男性が好きだと自覚したのは小学生の頃。同性同士のじゃれ合いにどこか後ろめたさを感じた。友達との会話や大人の言動から「同性が好きな自分は社会に存在してはいけない」と察し、異性が好きなように振る舞った。思春期に近づき、自分を偽るのがよりストレスとなった。
導入しても「当事者以外に何も影響を与えない」
「ゲイは世界で自分一人だけだと思った。〝普通〟になれない自分が嫌いだった」。中学入学後、異性愛前提の会話や性的少数者を嘲笑する空気に疲れ、学校を休みがちになり、3年生で完全不登校に。身近にロールモデルがなく周囲に相談できず自殺を図ったこともあった。学校での記憶を消そうと、卒業アルバムは卒業してすぐ、何度も踏みつけて破り捨てた。 米国留学などを経て自らのセクシュアリティを受け入れたものの、今も人生設計などに不安があるという。金原さんは「先進7カ国(G7)の中で唯一、日本は同性婚を認めていない。認められたとしても当事者以外の生活に何も影響を与えない。国は議論を避けず、導入に向けて動いてほしい」と語気を強める。
静岡県内立候補者 分かれる賛否
性的少数者(LGBTQなど)を支援する団体が行った2022年の調査によると、10代の性的少数者の約7人に1人が1年間に自殺未遂の経験があった。同年代の平均に比べて4倍ほど高かった。「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告弁護団の水谷陽子弁護士(名古屋市)は「法律で保障されていないことが性的少数者の自殺考慮やメンタルヘルス(心の健康)に影響している」と指摘し、同性婚を念頭に「法的な平等は当事者が安心して生きていける希望になる」と力を込めた。 静岡新聞社が行ったアンケートでは、静岡県内8小選挙区の立候補者29人のうち、「賛成」「どちらかといえば賛成」が17人、「反対」「どちらかといえば反対」が10人、「どちらともいえない」が2人だった。
37カ国・地域で法制化 広がる流れ
同性婚は2001年のオランダを皮切りに欧米を中心に広がり、現在37カ国・地域で認められている。アジアでは2019年に台湾で法制化され、2023年6月にはネパール最高裁が同性婚を認めて婚姻届を受理したほか、来年1月からタイでも施行される。 日本では法定相続権や配偶者ビザ取得、共同親権、所得税の配偶者控除など法律婚で得られる権利を同性カップルに認めていない。一方、カップルの関係を認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体は増え続け、10月現在、全国で人口カバー率88%に及ぶ。 日本では同性婚は法制化されていないが、3月の札幌高裁では、国が同性婚を認めない法律の規定は婚姻の自由や個人の尊厳を定めた憲法24条と法の下の平等を定めた憲法14条に反するとした。同様の裁判の地裁判決では違憲2件、違憲状態3件、合憲1件だった。
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