Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/ae3f16728949bbe90f0fdbdead7d0e2b650e1463
「職場にネパール人留学生が増えています。仕事を掛け持ちし、週28時間の就労制限を超えて働いている人もいるようです」。西日本新聞「あなたの特命取材班」に九州のスーパーで働く女性から情報が寄せられた。発展途上国からの留学生は食費や学費を自ら稼ぐ必要がある。物価高もあり、短い就労時間では生活が困難な人が少なくない。人口減少で日本の人手不足が進む中、経営者側にも留学生の労働力に頼らざるを得ない事情が透ける。 【グラフ】日本の総人口の推計 「いらっしゃいませ」 女性が働くスーパーを記者が訪ねると、ネパール人の男性店員が流ちょうな日本語で声をかけてきた。 店員の半数近くはネパール人。週28時間までの就労制限がある留学生が多いという。店舗の関係者は「従業員を募集しても日本人の応募は来ないし、採用してもすぐに辞める。慢性的な人手不足」と明かす。 留学生側の情報を集めたところ、ダブルワーク(兼業)をしている人が大半。兼業と合わせると週28時間の就労制限を上回る人もおり、出入国在留管理庁などに兼業がばれないよう給料を手渡しで受け取っているという。 ◆ ◆ 留学の資格で滞在する外国人は、同庁の許可があれば日本国内で働ける。週28時間の制限は、本来活動の学業に影響を与えないため設けているという。違反すれば在留資格が取り消されることもある。 同庁によると、今年6月末時点の在留外国人数は過去最多の約322万人。留学生も増加傾向にあり、約31万人に上る。ネパールやベトナムなど発展途上国から来日する人が多い。かつては日本語習得より労働を目的とした「出稼ぎ留学生」も少なくなかったが、物価の高騰や記録的な円安が学業にいそしむ留学生の生活も直撃。就労制限への不満が広がっている。 日本での就職を目指して福岡市で留学生活を送る20代のネパール人女性は、時給950円でアルバイトをし、月に約10万円稼いでいるが、家賃と食費でほぼ消える。ここ数年は食料品など物価が上がる一方、時給は変わらず生活は苦しいという。「お金持ちではないので実家からの仕送りは難しい。普通の生活をするために週30~35時間は働かせてほしい」と訴える。 女性によると、留学には渡航費など100万円以上を前払いする必要があり、借金して来日する人が多い。その返済や生活のため、違法と知りながら制限時間を超えて働く人もいる。 ◆ ◆ 経営者側も人材確保に苦しんでいる。福岡県の今年8月の有効求人倍率は1・19倍。求職者数を求人数が上回る状況が全国で続く。福岡市でサービス業を営む50代男性は「外国人に頼らざるを得ない」と窮状を説明。28時間の就労制限については「雇う方も効率が悪いし、留学生も生活できない。実態に即した制度に変えた方がいい」と話した。 ただ、出入国在留管理庁は見直しに慎重。留学生政策に詳しい佐藤由利子・東京工業大元准教授も「就労時間を延ばすと学習が十分にできず、日本語の読み書きも上達しない可能性があり、結果的に日本での就職が難しくなる」と否定的だ。 学業と生活をどうやって両立させるのか。佐藤氏は、人手不足の業種に就職すれば返済を免除するような奨学金制度の創設や拡充を提案する。介護分野では既に各地で同様の制度がある。佐藤氏は「日本政府も留学生を積極的に受け入れ、社会で活躍してほしいと考えている。留学生を雇用したい企業と自治体が連携した支援制度が必要ではないか」と話した。 (野村創)

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